研究課題/領域番号 |
10878159
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松下 通明 北海道大学, 医学部, 助教授 (20250425)
|
研究分担者 |
藤堂 省 北海道大学, 医学部, 教授 (60136463)
|
キーワード | ミクロ肝臓 / スフェロイド / 人工肝臓 / 回旋培養 / 細胞分離法 / 非実質細胞 / 共焦点レーザー顕微鏡 / コラーゲンゲル |
研究概要 |
ミクロ肝臓の作成および機能維持を目標に、今年度は以下の実験を行った。 1.ラットミクロ肝臓作成法の検討 1)細胞分散法の検討 昨年度に引き続きミクロ肝臓作成に適した細胞分散法を検討し、専用の灌流装置を制作した。得られた細胞を回旋培養すると4〜6時間でミクロ肝臓が形成されることが判明した。 2)非実質細胞との混合培養 上記分散法では、実質細胞分画にも豊富に非実質細胞が含まれることが判明した。これを用いて作製したミクロ肝臓は約70μmで、実質細胞に対して約30%の非実質細胞が含まれていた。さらに内皮細胞 : kupffer細胞はおよそ10:3であった。 2.ブタミクロ肝臓作成法の検討 1)屠殺ブタを用いた細胞分散法の検討 食肉センターから入手した屠殺直後のブタ肝臓を用いてコラゲナーゼ濃度、ディスパーゼ、ヒアルロニダーゼの有無、灌流液中のEGTAの有無、カルシウム濃度について検討したが、肝臓の状態に左右され、最適条件を設定することは不可能であった。 2)生ブタを用いた細胞分散法の検討 10Kg程度のブタを全麻下に肝潅流を行い、生細胞率95〜99%の肝細胞が採取できることを確認した。この肝細胞でラットと同様に培養を行うと、ブタミクロ肝臓がラットの10倍の細胞濃度の条件でも作製されることが判明した。 3.肝細胞スフェロイドの評価 1) 形態学的観察 共焦点レーザー顕微鏡を用いてラットミクロ肝臓の評価を行った。非実質細胞はほとんどが外側に接着、内部は立方体をした肝細胞からなっており、生体内の細胞極性を保ちつつミクロ肝臓を作製することに成功した。 2) 機能評価 ラットミクロ肝臓を長期培養すると、尿素合成能は1〜2日をピークに減少する。それと同時に単層化してゆきスフェロイド形態は消失するが、コラーゲンゲルを用いて培養すると形態・機能ともに維持されることが判明した。
|