研究概要 |
細孔径0.05×0.15μmである人工肺用のポリプロピレン製中空糸に、各種ガスの0.05mmHg雰囲気下で高周波印加(13.56MHz,30W)を行いプラズマ放電処理を行った。その後、各中空糸を微生物培養用ディッシュ底面にシリコン接着剤により固定し、内皮細胞を接種し37℃、5%CO_2雰囲気下で5日間培養した。培養1、5日後にそれぞれ中空糸を取り出し、接着細胞数を脱核染色法により計数した。その結果、酸素、水蒸気、アンモニアのいずれのガスでプラズマ放電処理しても、初期細胞接着密度および培養5日後の接着細胞密度は無処理のポリプロピレン製中空糸に比べてそれぞれ数倍、10-20倍に改善されることが判明した。なかでもアンモニアガスで処理した場合が最も優れており、アンモニアガスによるプラズマ処理時間は、5,10,20分のなかで5分が最適だった。さらに、5日後の中空糸上の細胞をギムザ染色し、顕微鏡観察したところ、中空糸表面で細胞は凝集することなく良好に伸展し接着しており、表面上に均一に分散していることが明らかとなった。 以上、細胞接着を改善する目的に対してプラズマ放電処理による親水化処理が適していることが今期判明した。今後、より詳細な条件を検討すると共に、細胞接着の強度の評価や親水化の透水性への影響などを調べて、研究を進めたい。
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