研究課題/領域番号 |
10894013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
笹尾 登 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10115850)
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研究分担者 |
今里 純 高エネルギー加速器研究機構, 素核研, 教授 (40107686)
久野 良孝 高エネルギー加速器研究機構, 素核研, 助教授 (30170020)
森 義治 高エネルギー加速器研究機構, 加速器, 教授 (30124176)
永宮 正治 高エネルギー加速器研究機構, 素核研, 教授 (90011692)
山田 作衛 高エネルギー加速器研究機構, 素核研, 所長 (70011658)
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キーワード | 高輝度二次ビーム / 位相回転法 / 大強度陽子加速器 / レペトン・フレーバー・バイオレーション / CP非保存 / ニュートリノ振動 / ミューオン冷却 |
研究概要 |
本研究では、位相回転法による高輝度二次ビーム生成法を新しく考案し、それに基づく素粒子実験の検討を行った。まず、位相回転(Phase Rotation)についてその原理を簡単に説明する。位相回転法は3つ又は4つのセクションより成立する:(1)標的及びソレノイドによる2次粒子捕獲部、(2)減少磁場ソレノイドによるマッチングセクション、(3)位相回転用RFセクション、(4)冷却部(2次粒子がμ中間子の場合)、である。まず、幅1nsec程度にパルス化された高エネルギー陽子ビームは、標的に入射され、多数の2次粒子を生み出す。2次粒子は高磁場(12T)ソレノイドで捕獲される。マッチングセクションでは徐々に磁場を弱くし(12T→3T)、粒子の横方向運動量を縦方向運動量に変換する。同時に、このセクションを飛行する間に速い粒子と遅い粒子の間に時間差が生まれる。この粒子集団に対して適当な位相を持ったRFを印加し、運動量の大きい粒子は減速、小さい粒子は加速し、運動量を揃える。更にμ粒子の場合、アイオンゼーション法により縦方向横方向の冷却を行い高輝度化を計る。こうして得られたビームは従来の二次粒子に比べて1000倍以上の輝度を持たせる事が可能である。次にこのビームを用いて可能になる素粒子・原子核物理を述べる。(1)μ中間子を用いたレプトン・フレーバー保存則の破れ。(μ→eγ、μ→e変換実験等) (2)タッグ付K_L3次ビーム粒子の生成と、それを用いたCP不変性の破れ実験。(K_L→π^0vv実験等) (3)μ中間子寿命超精密測定と弱い相互作用結合定数の決定。(4)ニュートリノビームを用いたレプトン部CP非保存実験の可能性を検討。以上の項目に対して詳しい検討を行い、高輝度ビームが実現するならばいずれも素粒子物理に画期的な境地を切り開く事が分かった。以上の成果を2回のProceeding Reportにまとめた。
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