ネパールでは、障害者の教師が非障害者の教師と同様に一般の学校で教鞭をとっている。2010年には、カマル・ラミチャネが数校の学校において、障害者および非障害者の生徒が障害者および非障害者の教師に教えられた際の学力に関する調査を行った。本調査の目的は、第一に障害者の教師が非障害者の教師と同様に教鞭をとることができるかを調査すること、第二に障害者と非障害者の教師の教える学生の学力の差があるのかを調査すること、である。2010年には、ラミチャネはネパールに3度訪問し、調査と経済実験をネパールのさまざまな地域にある9校の学校で行った。第一の訪問は6月末に行い、研究課題についての理解を深めた。その後、学校で行ったアンケートと実験をデザインした。2010年10月には再度ネパールを訪問し、アンケートのプレテストを2校の統合学校で行い、ネパール語に翻訳されたアンケートや質問の順番に問題がないかを確認した。プレテストにより修正したアンケートを用い、1月のはじめから2011年2月の第二週まで、実際の調査を行った。 アンケートに加え、統合学校の生徒の障害者に対する態度を調べるために、トラストゲーム、公共財ゲーム、独裁者ゲームなどの経済実験も行った。最終的なデータとして、7校に所属する、計4000人ほどの障害者・非障害者の学生及び教師からのアンケートを得た。現在、データエントリーを行っているところである。2011年には、同様な調査に加え、データの分析を行う予定である。本研究の成果は、学術雑誌に投稿すると同時に、日本国内および国外において研究発表として報告する予定である。 また、ネパールにおける障害、教育及び賃金に関しての研究報告を、「学術創成総合社会科学としての社会・経済における障害の研究」プロジェクトが主催したセミナーにおいて、2011年3月5日に発表した。
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