研究概要 |
シュレーディンガー作用素の波動作用素を伸張群の生成作用素によって表示し、S行列のC*環的観点からの研究を行うというのが当初の計画であった。この問題は1次元では解決しており、3次元の場合を目標としたが、予想以上に困難な問題であることが判明し、基礎段階としてFriedrics-Faddeevmodelによってスペクトル表示、レゾルベント評価、必要な函数空間、エネルギー依存性等の共同研究を行った。結果は学術雑誌Ann.Inst.Henri Poincareに論文として掲載される予定である。 散乱現象に共通して現れるtime-delayの問題を検討し、抽象的枠組みの中で一般的に導出することに成功した。結果は国内のシンポジウムで発表された。さらに学術雑誌に投稿中である。 国内のシュレーディンガー作用素の研究グループ、C*環の研究グループとの交流を頻繁に行った。また、海外の研究者、特に米国のGesztesy教授、フランスのKellendonk教授との共同研究が重要な役割を果たした。研究分担者のSerge Richardが国内で講演を行った大学は兵庫県立大学(解析セミナー2010年11月),北海道大学(数理物理セミナー2010年11月),筑波大学(解析セミナー2010年12月),東京大学(解析セミナーIPMU柏,2010年12月),名古屋大学(第3回微分方程式名古屋ワークショップ2011年2月),京都大学数理解析研究所(研究集会「スペクトル・散乱理論とその周辺」2011年2月),京都工芸繊維大学(数学セミナー2011年2月)である。
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