超微少量の金属・半金属元素を高倍率・選択的かつ迅速に濃縮可能な有機ポリマー製のモノリス型前処理デバイスを開発することを目的として、本年度は、8-キノリノールを配位子とするモノリス、ピリジンを配位子とするモノリス、アミドキシム基を配位子とするモノリスを作製し、これまで一般に用いられてきたイミノジ酢酸型のモノリスカラムと性能を比較・評価した。その結果、アミドキシム基を導入したモノリスでは、オキソアニオンとして存在する元素を選択的に濃縮できることが確認された。また、使い勝手の良いデバイスを提供するために、HPLCで汎用されているろ過用のフィルタ内や外径1/16インチのピークチューブ内で直接モノリスを合成・修飾する手法を確立した。これにより、実用性が格段に高まると期待される。一方、追加的研究課題として、生体高分子を分離・濃縮するためのモノリスカラムの開発にも着手した。エポキシ基を有するモノリス担体にジエチルアミンを修飾した弱陰イオン交換モノリスカラムでは、20bp-DNAラダーを良好に分離できた他、オリゴヌクレオチドをわずか1塩基の違いで分離することに成功した。現在、イミノジ酢酸基に金属を配位させた金属固定化モノリスカラムにより、リン酸化タンパク質の分離濃縮を検討している。
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