研究課題
近年の情報通信の広がりにつれて、通信の信頼性が以前にも増して重要になってきている。そのためにこれまでよりも絶対的に安心な通信が可能である量子情報通信が注目されている。その量子情報を伝送するのが単一光子であり、最小単位の光子はそれ以上には分割できないことが,通信の信頼性に重要な役割を果たしている。単一光子を発生する光源として半導体ナノ構造が注目され、活発に研究が進められている。本研究ではこのような半導体ナノ構造の量子情報応用に向けた基礎ではあるが、重要な研究を進めている。本年度は特に、光ファイバー通信波長帯である1300nmおよび1550nm帯のInP基板上のInAs量子ドットについて、単一の量子ドットを含むピラー構造の作製技術を確立した。さらにシミュレーションで光子取り出し効率が高くなることを明らかにした、ピラーの側面に傾斜角をつけた「コーン構造」を作製する技術も確立した。これによって、量子ドットから発生する発光強度が30倍以上に増大することを確認した。また発光源の高温動作を目指して単一量子ドット発光の温度特性を検討し、~150K程度まで発光を確認することが出来た。この過程で、温度特性を律速する量子ドットから外部のバリアへのキャリアの流出プロセスを調査し、電子と正孔が対となって外部に流出する過程が主体となっていることを明らかにした。これらの成果に基づき、単一光子発生を確認するための光子相関測定を行うべく、超伝導単一光子検出器の動作確認を進めているところであり、光ファイバー通信波長帯での単一光子源の実現に向けた重要なステップを進めつつある。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
Japan.J.App.Phys.
巻: 51 ページ: 010114-010123
10.1143/JTAP.51.010114
New J.Phys.
巻: 14 ページ: 023037-023055
10.1088/1367-2630/14/2/023037
Jpn.J.Appl.Phy
巻: 50 ページ: 06GG02-06GG02-5
10.1143/JJAP.50.06GG02