研究概要 |
本研究では、加工しても形状が変わらない巨大ひずみ加工法を利用して大量の格子欠陥を導入し、水素貯蔵特性の向上を目指すことを目的とする。巨大ひずみ加工法として超高圧ねじり変形(High-Pressure Torsion : HPT)法と呼ばれる加工技術を利用する。本研究では、いろいろな純金属にHPT加工して付与ひずみに対する硬度変化を調べ、透過電子顕微鏡を用いて組織観察するとともに、HPT加工した純Mgの水素吸蔵量を調べた。得られた結果は以下の通りである。 1.30種類の純元素の試料をHPT加工したところ、硬度は低融点金属を除いてひずみとともに上昇し定常値に飽和した。Mgやアルミニウムの低融点金属は付与ひずみとともに、いったん硬度は上昇し、最大値を示した後に減少して定常値になることがわかった。 2.定常状態での硬度値は原子結合力と相関関係があるとともに、定常状態での結晶粒径も原子結合力で一義的に表されることが示された。 3.純MgをHPTしたところ、定常状態では約1ミクロンの微細結晶粒径となった。また一部転位フリーの再結晶粒が観察された。 4.3MPa,150度Cで水素吸蔵試験したところ、10回転した試料では約6.9wt%の水素が吸収されることが分かった
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