研究課題/領域番号 |
10F00122
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高橋 雅英 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授
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研究分担者 |
MUTELIEFU Gulinuer 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | chronic kidney disease / uremic toxin / indoxyl sulfate / cell senescence / vascular smooth muscle cell / atherosclerosis / aging |
研究概要 |
慢性腎不全の合併症の1つに動脈硬化が存在するが、その原因の1つとして、腎機能の低下に伴って血中に蓄積されるインドキシル硫酸が関わっている事が明らかとなっている。しかし、インドキシル硫酸がどのようなメカニズムで動脈硬化を導いているのか未解明な部分が多いのが現状である。近年、様々な病態の発症に組織の細胞性老化の関与が明らかとなっている事から、我々は慢性腎不全時に発症する動脈硬化について血管平滑筋細胞に焦点を当て、インドキシル硫酸が血管平滑筋細胞の細胞性老化を導くのか解析を行った。細胞性老化の指標として、そのマーカー遺伝子である、Scenescence-associated β-gal (SA-β gal)の活性化、p53、p21、p16、Rbの発現量の変化に注目した。結果として、インドキシル硫酸は、ヒト大動脈血管平滑筋細胞において、時間依存的にSA-β-galの活性化を増加させた。p53、p21、p16、RbのmRNAの発現量については、p53とp21はインドキシル硫酸刺激によって時間依存的及び濃度依存的に発現量を上昇させたが、p16、Rbについては変化が認められなかった。mRNA量の変化が確認されたp53、p21についてタンパク質の発現量を確かめたところ、mRNAと同様に、時間依存的にタンパク質の発現量が亢進していた。インドキシル硫酸は、ヒト大動脈血管平滑筋細胞において活性酸素の産生を誘導する事から、インドキシル硫酸による活性酸素の産生がSA-β-galの活性化やp53とp21の発現量の変化に影響を与えているのか検討を行ったところ、SA-β-galの活性化、p53、p21のmRNAとタンパク質の発現量を共に変化させていた。以上より、インドキシル硫酸は活性酸素の産生を介して血管平滑筋細胞の細胞性老化を導く事で慢性腎不全時おける動脈硬化を発症させる事が示唆された。
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