研究概要 |
^<128>Pd実験プロポーザル:世界最高性能重イオン加速器RIBFを利用した重元素合成の研究を行う。質量数110領域における非常に中性子過剰な原子核の寿命の系統性を調べた結果、質量数110近傍のZr,Nb(Z=40,41)は理論予想よりも2~3倍も速く崩壊することがわかった。この結果は、予想より速く元素合成が進むことを示唆しており、間接的にβ崩壊のQ値が想定よりも高い事を示唆する。この系統的な結果は、質量数110-125近傍の元素存在度の不足問題の謎を解く鍵となり得ることから、より中性子過剰な領域でのβ崩壊実験が必要となる。そこで、^<111>Zrから^<128>Pd(Z=46,N=82)までの非常に中性子過剰な原子核のβ崩壊実験を検討した。そして、2010年12月の国際・実験評価委員会(PAC)において実験を提案した結果、高く評価され、正式に承認された。 半導体検出器:10ms以下の短い寿命を持つ不安定な原子核(RI)のβ崩壊実験を行う際に、RIを半導体検出器に埋め込む際の不感時間が問題となっていた。そこで、新しくFET型フィードバック回路を開発し、既存の前段増幅回路に導入した。その結果、不感時間の改善に成功した。 CAITEN装置:革新的なβ崩壊測定装置(CAITEN)を利用したβ崩壊実験を行い、大強度の不安定核ビームに対応したβスペクトロスコピー実験が可能であることを確認した。 中性子検出器:β崩壊に伴い放出されるβ線、遅発γ線、遅発中性子の最適化した装置開発を行うために、MCNP解析コードを導入したシミュレーション計算を行った。その結果、β線検出器の周囲を完全に中性子検出器で覆う事が有効であることを明らかにした。
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