研究課題/領域番号 |
10F00218
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
平林 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 副研究センター長
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研究分担者 |
HU Dan 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | 糖鎖プローブ / レクチン / 進化工学 / 硫酸化ガラクトース / 糖鎖プロファイリング / 糖鎖アレイ / グライコーム |
研究概要 |
レクチンアレイは細胞固有の複雑な糖鎖構造を迅速簡便に評価する「糖鎖プロファイリング」のためのツールとして注目され、現在その応用展開が活発に行われている。しかし、従来アレイに供されているレクチンの多くは天然物由来のもので、このため複雑多様な糖鎖構造(グライコーム)を網羅することが困難とされる。本研究では、レクチンレパートリーの拡充、結合親和性や特異性の改善を目指し、分子進化工学的な手法と糖鎖工学技術を駆使した改変レクチンの開発を行うことで、糖鎖機能の解明や実用化に貢献できるレクチンプローブを提供することを目的とした。昨年度、モデル系としてR型レクチン(リシンB鎖超家系)に属する29kDaミミズ由来ガラクトース結合性レクチン(EW29)のC末端側ドメイン(約14kDa)を親タンパク質とし、エラー導入PCR・リボソームディスプレイ法(分子進化工学)に糖鎖複合体アレイ(糖鎖工学)を用いたスクリーニング系を導入することでハイスループットな進化工学系をほぼ構築した。今回、強化された本システムを用い、今まで優れた検出プローブの無い硫酸化糖鎖に対する特異的な改変レクチンの創出に挑んだ。糖鎖複合体アレイを用いた迅速スクリーニング系によって6-硫酸化ラクトサミン(6SLN)ポリマーに対し新たに結合力を獲得した20クローンを選別した。配列解析の結果、14クローンに共通して特定の変異(Glu20Lys)導入が確認された。これらのクローンはいずれも6SLNに特性を示すことが判明し、さらにこの一箇所の点突然変異のみで6SLNへの親和性を獲得していることが示された。さらに本改変レクチンの有用性を組織染色やフロサイトメトリ解析で実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
6硫酸ガラクトースという有用な検出抗体が無い糖鎖に対するプローブをレクチン改変技術で創出でき、さらに本技術が応用性の高いものであることが本研究によって示された。
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