研究課題/領域番号 |
10F00301
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授
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研究分担者 |
GUNDEM CanYumni 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 家畜化 / ウマ / サイズ / 日本 / 西アジア / 新石器時代 / 古代 / 青銅器時代 |
研究概要 |
本研究は日本の古代~中世の遺跡から出土したウマのサイズと形態に関するデータを収集し、日本への家畜馬の導入経緯や日本固有の品種の成立過程について明らかにすることを目的とする。23年度は、長野県・と関東地方の古代~近世遺跡出土のウマ骨の資料を収集し、計測を行った。ウマは権力層と結びついた家畜で、戦争における重要性などからも考古学的な関心は高いが、日本の古代、中世の遺跡から出土するウマの骨格形態とサイズに関する網羅的な研究はこれまで行われていなかった。もうひとつの研究プロジェクトである、西アジアの遺跡出土動物骨の資料収集に関しては、総研大に保管されているトルコ南東部の新石器時代遺跡から出土した約3000点の動物骨の分析を行った。7月~8月上旬、トルコ南東部バットマン県のハサンケイフ遺跡の、筑波大学による発掘調査に受け入れ研究者と共に参加し、約5000点の出土動物遺存体資料を分析、記載した。出土動物遺存体の分析をおこなった。また、8月中旬、トルコ中央部ニーデ県のテペジク遺跡の発掘調査に参加した。この調査はイスタンブール大学により行われており、新石器時代から銅石器時代までの長期間継続して居住された遺跡であることから、中央アナトリアにおける家畜飼育に関して、他の遺跡からは得られない通時的なデータを得られることが期待される。また、当時この地域に生息していた野生馬の利用や絶滅の時期に関して解明するため、出土資料の研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、23年度は、岩手・宮城・福島の考古遺跡から出土したウマ骨格の計測データを収集する予定だったが、東日本大震災のため、所蔵機関に資料閲覧の対応をしていただくことが困難になり、延期した。しかし、長野県屋代遺跡・西近津遺跡群・茨城県村松白根遺跡・神奈川県由比ガ浜南遺跡から出土した古墳時代~江戸時代初期の出土馬の骨格の計測を進め、データを蓄積することができた。また、トルコのテペジク遺跡から出土した、銅石器時代の野生馬の資料を収集し、中央アナトリア高原に生息していた野生馬がいつごろ絶滅したか、オネガーなど他のウマ科野生動物の狩猟と共に、生業の中でどのような位置を占めていたかなどの問題を解明する研究を継続する
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今後の研究の推進方策 |
今後は、神奈川県由比ガ浜南遺跡の大量の資料の計測を進め、大阪・奈良の遺跡から出土した古代のウマ骨格資料の収集を進める。
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