研究課題/領域番号 |
10F00304
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
櫻井 義秀 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授
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研究分担者 |
LEE H. 北海道大学, 大学院・文学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 韓国系キリスト教会 / 日系新宗教 / 韓国人ニューカマー / 階層 / 両極化 |
研究概要 |
本研究は、1990年代以降教勢を拡大させた宗教団体および、占いなどのスピリチュアリティ系を対象とし、90年代以降の社会的背景を考慮に入れつつ、どの宗教に、どの階層特性を持つ人々が集中しているのか-宗教現場においてどのような不平等(階層格差)が生じているのか-を明らかにするものである。 そのため、今年度は、信者への聞き取り調査を実施(本研究の課題を明らかにするための中心的な作業)した。初年度に選定した調査可能な対象団体の信者に、半構造化した調査票を用いた聞き取り調査を行った。韓国では、韓国SGI、韓国天理教の信者に聞き取り調査を行い、日本では、在日大韓基督教会、純福音教会、オンヌリ教会、東京中央教会の信者に聞き取り調査を行った。それぞれの信者の生活構造(階層特性)に即し、当団体への入信経路・回心の背景について聞いた。その際、信者の世帯構成と家族周期の階層差、出身階層の違いなど、総合的な分析視点を視野に入れながら実施した。 以上で得られた知見を、第70回日本宗教学会学術大会にて「宗教からみる日韓の文化交流-キリスト教と新宗教を手がかりに」を、第59回北海道社会学会大会にて「韓国人ニューカマーの宗教的指向と教会参加」というタイトルで発表を行い、参加者からのコメントを集約しながら検討を重ね、「信仰継承における「他者」の役割-韓国天理教3世信者を事例に-」『日本近代学研究』(韓国日本近代学会、2011)、「韓国人ニューカマーの生活世界と教会参加-日本の韓国系キリスト教会に集う韓国人ニューカマーを事例に-」『日本研究』(高麗大学校日本研究センター、2012)の研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」の通り、おおむね調査研究を実施してきた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で明らかになった対象教団の実態と、信者の階層的特性、そして時代背景(社会構造と社会階層の変動)と照らし合わせながら分析し、日韓それぞれの社会変動との連動関係について明らかにする。この作業を通して、宗教間での階層格差問題(宗教現場においてどのような格差が発現しているのか、また、それにはどの点が影響を与えたのか)の実態が把握でき、その構造が明らかになると考える。最終的には、全体の成果を総括し、宗教間格差を導く要因から解決に向けての方向性を提示する。研究成果については、学会誌『宗教と社会』(「宗教と社会」学会)もしくは『現代社会学研究』(北海道社会学会)等に投稿する。
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