研究課題
L近年注目を集めている「Pd(II)/Pd(IV)触媒反応」では、系中で生成したPd(II)中間体を強力な酸化剤の作用により特異な反応性を示すPd(IV)種へと導くことで、従来のPd(O)Md(II)サイクルでは達成できなかった変換を可能としている。不斉Pd(II)/Pd(IV)触媒反応を実現すれば、有用な光学活性化合物の効率的合成へと応用できる。しかしながら、このような反応は強力な酸化剤の共存下で行うため、既存のキラル配位子では安定性に乏しくエナンチオ選択的反応への展開が困難であった。これまでに我々は、キラル配位子スピロビスイソオキサゾリン"SPRIX"の酸化条件下における安定性を活用し、世界初となる不斉Pd(II)Md(IV)触媒反応の創出に成功している。今回、ホモアリルアルコールを基質としたPd(II)/Pd(IV)触媒反応にSPRIXを適用したところ、目的の環化的アセトキシ化が高収率、高エナンチオ選択的に進行することを見出した。本反応は、形式的ではあるものの、通常進行しにくいとされる5-endo-trig型環化であり学術的に興味深いばかりか、生成物として得られる3-オキシテトラヒドロフラン誘導体は、多くの生理活性物質に見られる部分構造であるため実用面でも期待できる。2.有害な金属を必要としない有機分子触媒は、空気中や含水溶媒下での反応が可能である上に、反応に利用する際に複雑な操作を必要としないことから、次世代の触媒として期待されている。我々は、触媒を構成する複数の官能基の協調的作用によって反応を促進する"二重活性化型触媒"の概念を基幹とした、不斉有機分子触媒の開発に取り組んでいる。本年度は、キラル有機分子蝕媒を利用したケチミン基質のaza-MBH反応の開発に成功した。
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