研究課題/領域番号 |
10F00356
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
計 宇生 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授
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研究分担者 |
谷 雨 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 外国人特別研究員
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キーワード | センサーネットワーク / ボディセンサーネットワーク / ターゲットカバレッジ / 無線監視システム |
研究概要 |
平成23年度では、研究の第2段階として、無線センサーネットワークを用いた監視システムを構築するための理論と実践的な課題として、ターゲットのモニタリングの問題とボディセンサーネットワークにおけるバースト通信の問題について検討を行った。 様々な監視アプリケーションがターゲットのモニタリングの問題として考えられる。本研究では、あるエリアに配置された監視用センサーシステムで、一連の物理ターゲットを持続的にモニタリングするような環境のための一般化モデルを提案し、それを使って、実世界における監視用センサーシステムに関する理論的に検討を行った。まず、時間ドメインを空間ドメインに変換するという独特な発想に基づき、移動性、経路選択、遅延、エネルギー消費などの要求条件を数式で一般的に表すことでネットワークライフタイムの上限の算出方法について検討し、多項式複雑度で求められるようにした。また、空間ドメインにおいて、非線形列生成問題に基づく解決方法を導入し、解の最適性を保証している。シミュレーションによる評価の結果、提案アルゴリズムは単純なサーチや他のヒューリスティックアルゴリズムよりもネットワークライフタイムを改善できることがわかった。また、クリティカルなターゲットのカバレッジ、キースポットの監視などの実世界のアプリケーションに理論的結果の利用について検討した。 また、ボディセンサーネットワークは人体の各部位に配置されたセンサーから得られるデータを協調的に処理することによって医療や介護の機能を果たすものである。他のセンサーネットワークに比べ、小型化と着用性が求められ、電力供給の制限がより強い。電力消費を減らし、持続的なサービスができるように、通信回数を減らすためのバッファリング技術について検討し、異なるサービス品質要求のデータにも対応するように伝送の優先度を動的に決めるアルゴリズムについて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は高齢者介護のような応用において無線監視システムの構築のための技術問題を解決することであり、これまでに行った研究と結果はその基礎をなすものであり、監視システムの構築のための重要な理解を与えるものである。
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今後の研究の推進方策 |
無線監視システムにおける様々な問題、例えば、ターゲットのモニタリング、移動の追跡、バースト通信のためのスケジューリングなどがあり、今後はこれらの問題の解決に向けて、提案手法の実現を行っていく予定であり、それらの理論的および実際の性能についても考えていく予定である。
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