家庭内での日用品の取り寄せや片づけは、高齢者や身体障害者のための基本的な生活支援作業であり、これをロボットが実行できるようになれば社会的経済的効果は極めて大きい。そのためには、作業対象となる日常生活小物物品について、それがどのようなものか?環境内のどこにあるのか?といった情報が必要となる。しかし、広い生活空間に分布するすべての日用小物を直接計測できるようにセンサを配置することは現実的には難しい。そこで、センサ付き収納庫など局所的な検出機能を有する機器を用い、居住者の生活行動の長期観測と日用品の移動分析を行い、センサ情報を統合して日用品の位置を推論追跡する手法を研究し、下記の成果を得た。 1)フロアセンサにより、人の歩行を追跡し、椅子やベッドなど家具配置情報と照合して生活行動を推定する手法と、人間が移動させた日用品について、人間行動を追跡した経路に沿って存在確率分布を計算する手法とを統合し、日用品の所在を推定する手法を開発した。 2)移動ロボットに搭載したレーザレンジファインダにより得られる高精度高分解能の距離画像と反射強度画像とを用いて、屋内空間の識別手法を開発した。これは、ロボットが、教員室、研究室、廊下などのうちどの場所にいるのかを識別するもので、物体同定のためのコンテキストとしても重要な情報となるものである。局所二値パターンと空間ピラミッドマッチングを用いる手法を開発し、性能評価実験をおこなってその有効性を確認した。
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