研究課題
22年度には、河川内の砂州における、植物の生長を支える窒素の供給源やその律速の状況について、まずは、量的な把握を目的にして、以下の過程により解明を行った。荒川の砂州および多摩川において、2007年の洪水によって形成された地形や堆積物をもとに、樹木および草本類に覆われた場所および植生のない場所において、標高、冠水頻度、樹木の種類と位置と形態特性、草本類の種類の測定を行い、同時に、土壌粒径などの状態の調査を行い、土壌、植物バイオマス、リター等のサンプリングを行った。実験室内において、採取したサンプルより、微細土壌の割合の計測、土壌水分量の計測、土壌の含有有機物量、土壌の含有無機および有機栄養塩盆、草本類のバイオマス、リターバイオマス量等の基礎となる量に関する量の分析を行った。以上の結果より、植物バイオマスと土壌水分量や窒素量との関係を求めた。その結果、草本類のバイオマスは土壌中の窒素濃度とともに急激に増加することが得られ、土壌中の窒素が草本類の増加に大きく影響していることがわかった。次に、窒素固定を行う細菌と共生する植物について、窒素安定同位体比の値より、植物体内の窒素壁のうち、窒素固定に寄与する割合を求めた。その結果、土壌中の窒素量が少ない間は80~100%は固定された窒素に由来し、土壌中の窒素濃度が高くなると、固定窒素の割合が急激に減少することが得られた。また、富栄養化した河川においては、河川水中の窒素安定同位体比が高いことから、河岸においては、冠水頻度の高い標高の低い場所では、同位体比の値が高く、冠水頻度が少なく、窒素固定細菌と共生する植物によって窒素が供給されている標高の高い場所においては、同位体比の値が低くなることが分かった。
すべて 2010
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River Research and Applications
ページ: DOI:10.1002/rra.1374