ナノ構造体の構築手法を光触媒・光半導体電極材料の研究開発に取り入れ、より高性能な光触媒・光半導体電極材料の開発を行う。規則正しい形状からなる半導体のナノ構造体は、光励起キャリアの分離を促進する機能を作り込める可能性が高く、デバイス応用のみならず光触媒・光半導体電極材料としての応用も期待できる。今年度はTa3N5のナノワイヤー作製およびその光電気化学特性の評価を行った。Ta3N5のナノワイヤーはTa板上にAl金属膜を真空蒸着法によって成膜し、陽極酸化することによってポーラスアルミナ層を形成、さらに陽極酸化を続けることによりポーラスアルミナ層をマスクとしてポーラスアルミナ層の下にポーラスな酸化タンタルが得られる。ボーラスアルミナ層をリン酸を用いて除去することにより酸化タンタルのナノワイヤーが得られる。この得られた酸化タンタルをアンモニア気流下で焼成して窒化処理することによりTa3N5のナノワイヤーが得られる。X線回折、走査型電子顕微鏡等によってTa3N5のナノワイヤーが得られていることを確認した。また、光照射下における水分解特性も評価した結果、光アノードとして動作し、Ta3N5ナノワイヤー電極表面から酸素が生成することを確認した。本手法では非常に安価にかつ大面積でナノワイヤー電極が得られる事から、太陽光を利用技術としては大きなアドバンテージがあると考えられる。今後、本手法を発展させていくことにより再生可能エネルギーである太陽エネルギー利用技術として期待されている光触媒を用いた水素製造への展開を狙う。
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