研究課題/領域番号 |
10F00392
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐竹 暁子 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授
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研究分担者 |
LUISFERNANDO Chaves 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | 生態・環境 / 病原菌 / 土地利用 / 数理モデル / 地球環境変化 / 蚊帳 / 意思決定 / アフリカ |
研究概要 |
外国人特別研究員として研究を開始してこれまでに4編以上の論文が発表された。 防虫剤を練り込んだ合成樹脂を原料として糸を作りそれで織った蚊帳(insecticide treated net)の利用は、最近注目されマラリア感染を予防する目的で大きな効果を上げている。マラリアを媒介するハマダラカは主に夕方から夜にかけて活動するため、夜人々が蚊帳の中で寝ることができればハマダラカに刺されることもない。第一の論文では、アフリカ西部におけるマラリア発症事例数が蚊帳導入後どのように変化したかを報告したものである。その他の論文は、蚊の個体群動態を予測する数理モデルの構築や、気候変動がマラリア感染動態にいかに影響をおよぼすかを議論したものであり、本研究課題が着実に推進されていることがわかる。理論的研究だけではなく2012年1月に現地調査のためケニアビクトリア湖西部の調査地を訪問し、実際の調査現場を体験したことは今後の本研究課題推進のために役立った。 また、人々の土地利用がマラリア感染動態に影響する可能性を検討した数理モデルの構築は順調に進行し、本研究成果は2011年9月に明治大学で開催された日本数理生物学会などにおいて発表された。さらに、蚊帳利用における人々の意思決定に関するゲーム理論モデルも開発中であり、蚊帳利用が普及するのに必要な条件を理論的に導くことに成功している。残された期間で、これらの成果を論文としてとりまとめ発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ケニアにおけるマラリア発症数と気象要因の関係を長期時空間データの解析から明らかにした研究が高く評価されたことと、マラリア撲滅に向けた蚊帳利用に関するゲーム理論的研究が予想以上に興味深い結果をもたらしたことから、上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、マラリアの蔓延が格差を生じさせる要因と成りうるかどうかを理論的に研究し、本研究課題終了時期である11月までに論文を発表する。
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