研究課題/領域番号 |
10F00399
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
篠田 雅人 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授
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研究分担者 |
BANZRAGCH Nandintsetseg 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | 風食 / 生態系モデル / 黄砂 / 草原生態系 |
研究概要 |
本研究の目的は、「統合的風食スキームのための生態系モデリング」である。研究対象地域は、東アジア内陸乾燥地のなかでも黄砂発生が積雪や植生の変動に対して敏感であるモンゴル草原とする。黄砂が頻繁に発生する春は、消雪や植物の成長など陸面状態に大きな変化がみられるが、この過程を現実的にモデリングできるかどうかが研究の成功の鍵となる。 モデリングにおいては、黄砂発生に関わる要因として、冬の積雪・土壌凍結、春の土壌水分・枯れ草、大規模な気象など、自然の諸過程に加えて、家畜による採食の影響も考慮する。過度の放牧は草原の劣化(砂漠化)を引き起こし、黄砂発生を誘発する。具体的に、以下の手順で研究を進める。(1)植生・土壌水分の動態と風食過程の関係を解析する。(2)生態系モデルを開発し、その検証を行う。(3)開発した生態系モデルと既存の大気モデルを統合的風食スキームに組み込む。本年度は上記の(2)、(3)を中心に研究を進め、以下の3点の内容について実施した。 ・モンゴル草原の特別観測地(Bayan Unjuul)において、生態系モデルのパラメタ・入力・検証データを取得した ・生態系モデルのパラメタライゼーション・シミュレーション・検証を実施し、モデルによる現実の地表面状態の再現性があることを確認した。 ・ケルン大学のShao教授の協力を得て、開発した生態系モデルと既存の大気モデルを統合的風食スキームへに組み込こむ作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の最終段階である「開発した生態系モデルと既存の大気モデルを統合的風食スキームに組み込む」作業にとりかかっていることから、研究はほぼ予定通り順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究期間の最終年となるため、開発した生態系モデルと既存の大気モデルを用いた統合的風食スキームを完成させる。ケルン大学のShao教授の協力を得て、本研究の最終段階の作業を効率的に進める。この成果は日本地球惑星科学連合2012年大会で発表し、その後国際誌に投稿する。また、本研究は順調に進んでいることから、これを土台として新しいプロジェクトの立案・申請を行う。
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