研究概要 |
本研究は、バベシア原虫の赤血球内寄生機構の一環としてヘモグロビン分解経路の解明に焦点を当て、それに基づいた新規治療法の開発を目指して企画した。 前年度までに以下の結果が得られている。(1)ウシバベシア原虫(Babesia bovis)のヘモグロビン分解に関わると推定されるロイシンアミノペプチダーゼ(BbvLAP)遺伝子をクローニングし、組換えBbvLAPを作製した。(2)抗組換えBbvLAP抗体を作製し、虫体におけるBbvLAPの局在を特定した。(3)組換えBbvLAPの酵素活性を確認した。 今年度は主に以下の結果が得られた。(1)組換えBbvLAPのアミノペプチダーゼ活性を詳細に調べたところ、K_m値が139,3±30.25μMで、V_<max>値は64.83±4.61μM/minであった。(2)組換えBbvLAPの酵素活性はロイシンアミノペプチダーゼのインヒビターとして知られるベスタチンにより特異的に抑制された。(3)試験管内培養における虫体増殖抑制試験を行ったところ、IC_<50>値は131.7±51.43μMであった。(4)これらの結果は、BbvLAPを標的としたウシバベシア原虫感染症の治療薬開発の可能性を示唆するものである。
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