研究概要 |
本年度は研究開始の準備時期でもありマウス切歯抜歯窩再生モデル,BMP骨欠損修復モデルの構築を行った. 1)マウス切歯抜歯窩再生モデル マウスの切歯を抜去して1週,2週,3週間の間に抜歯窩に再生してくる骨量を定量して,骨再生のプロセスを把握することが目的であった.マウス切歯の抜歯はかなり難しいが,抜歯数日前に切歯先端を歯科用エンジンを用いて切断すると,萌出が加速されるため比較的容易に抜歯を行うことができた.抜歯窩に生じる骨の形成を経時的に検討したところ,1週,2週目では骨の形成は十分でないが,3週目以降徐々に骨の形成は増加して10週目では海綿骨で抜歯窩は満たされた.また組織学的な解析を行い,骨形成過程に出現する細胞群の同定と蛍光色素による骨ラベリングを行い骨形態学的な解析を行ったところ,抜歯3日目より骨は出現し,表面には骨芽細胞がならび活発な骨形成を行っていた.MARは抜歯初期の2週目までが高い値を示し,その後徐々に低下する様子が観察できた.また抜歯後3週目までの形成された骨にはほとんど破骨細胞が観察されず,本実験モデルが主に骨形成のみを行っている系であることが確認できた.従って本実験モデルは骨形成におよぼすTNF-α拮抗薬の効果をin vivoで検討するのに適していることが明らかとなった. 2)BMP骨欠損修復モデル マウス頭蓋骨に直径2mmの欠損を形成してBMPを填入して1週,2週,3週,4週における経時的変化を検索した.リコンビナントBMP2はコラーゲンを担体としてゲル状化して欠損部に填入したが,頭蓋骨の骨欠損部にBMPが定置しない例が多く出現した.BMPによる骨の形成は対照側に較べて増加するがそのBMD値は安定せず,本モデルが安定的な骨形成モデルとして機能するにはさらなる検討が必要と考えられた. 以上の研究により次年度の研究としてマウス切歯抜歯窩再生モデルを主に使用するのがよいことが明らかとなった.
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