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2011 年度 実績報告書

多糖体ナノゲルを用いたTNF-α拮抗薬輸送による骨形成促進作用の検討

研究課題

研究課題/領域番号 10F00432
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

大谷 啓一  東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授

研究分担者 ALLES C.R.  東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
キーワードTNF / RANKL / 石灰化 / BMP
研究概要

これまでにTNFとRANKLに拮抗するW9ペプチドが骨量増加作用を示すことを明らかにしてきた。RANKLへの拮抗作用も骨量増加に関連する可能性があることから、本年度は以下の研究を行った。
特異的にRANKL-RANK相互作用を阻害する新規のOP3-4ペプチドを用いて、In vitro実験としてマウス頭蓋骨より骨芽細胞を単離培養して、石灰化培地にて石灰化を誘導した。W9ペプチド、OP3-4ペプチドを培地に加えて7日あるいは21日間の培養後にアルカリフォスファターゼ染色とVon Kossa染色を行い、細胞の酵素活性と石灰小節の計測を行った。その結果、骨芽細胞の分化をW9ペプチド、OP3-4ペプチドが促進することが認められた。7日間培養した細胞のアルカリフォスファターゼ染色、21日間培養した石灰化結節、いずれもがペプチド未添加の対照群よりも増加することが観察された。Von Kossaサ染色で染まる石灰化基質を定量したところ、両ペプチドの石灰化促進作用を確認することができた。In vivoの実験として25週齢のC57BL/6Jマウスを用いて背部皮下にコラーゲンディスクを埋入した。コラーゲンディスクにはBMP単独、BMP+W9ペプチド、BMP+OP3-4ペプチドをしみ込ませた。埋入4週後にマウスを麻酔下屠殺してコラーゲンディスクの石灰化をDXA法にて測定した。さらに石灰化組織の3次元的構造を観察した。マイクロCTによる解析では、マウスは背部皮下に埋め込んだコラーゲンディスクの石灰化を、BMP単独の場合に比べて両ペプチドは著しく促進した。DXAを用いた骨塩量測定の結果では、OP3-4ペプチドが特に効果が高く、また用量依存的な作用を示した。
以上の実験結果から、RANKL拮抗作用を持つW9ペプチド、OP3-4ペプチドが骨芽細胞の分化・機能の促進と石灰化の促進作用を有することが明らかとなった。両ペプチドの骨形成機序における作用は不明であるが、今回発見したRANKL抑制が何らかの作用を示して骨形成に促進的に働くことが示され、創薬標的探索の観点からも本研究は重要な知見を示したものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していたナノゲルを用いた薬物輸送は現在のBMPコラーゲンディスク移植を用いた方法が順調に使用できているので、次年度の課題とする。また切歯抜歯窩モデルに関しても現在のBMPコラーゲンディスク移植システムの解析が終了してから取り組みを行う予定である。

今後の研究の推進方策

ナノゲルを用いた薬物輸送システムは効果的に働くことが予想される。ナノゲルはすでに候補ゲルが有り、これを用いた輸送システムを用いた実験を今後進める予定である。切歯抜歯窩モデルに関してはテクニックが必要であり、今後方法を習得した上で実験を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Defective nuclear factor-κB-inducing kinase in aly/aly mice prevents bone resorption induced by local injection of lipopolysaccharide2011

    • 著者名/発表者名
      N.S.Soysa, N.Alles, M.Takahashi, A.Aoki, K.Ohya
    • 雑誌名

      Journal Periodontal Research

      巻: 46 ページ: 280-284

    • DOI

      Doi:10.1111/j.1600-0765.2010.01333.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The tumor necrosis factor type 2 receptor plays a protective role in tumor necrosis factor-α-induced bone resorption lacunae on mouse calvariae2011

    • 著者名/発表者名
      K.Nagano, N.Alles, A.H.Mian, A.Shimoda, N.Morimoto, Y.Tamura, H.Shimokawa, K.Akiyoshi, K.Ohya, K.Aoki
    • 雑誌名

      J Bone Miner, Metab

      巻: 29 ページ: 671-681

    • DOI

      DOI10.1007/s00774-011-0270-z

    • 査読あり
  • [備考]

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/hpha/index.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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