研究課題/領域番号 |
10F00502
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
NORI Franco 独立行政法人理化学研究所, デジタル・マテリアル研究チーム, チームリーダー
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研究分担者 |
GIAVARAS Georgios 独立行政法人理化学研究所, デジタル・マテリアル研究チーム, 外国人特別研究員
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キーワード | グラフェン / 量子ドット / クライントンネリング / 束縛状態 / ディラック方程式 / スピンブロックケージ / マスター方程式 / 電子電流 |
研究概要 |
電磁場を組み合わせて形成させたグラフェン量子ドットの性質を詳細に研究した。電場により、ゲート電極を使用して発生させることができるであろう滑らかな量子井戸ポテンシャルが生成される。単層グラフェン内でのクライントンネル効果のために、量子井戸ポテンシャルの状態は振動的な漸近依存性をもち、したがってこの井戸のみでは電子を閉じ込めることはできない。しかしながら、均一な磁場がグラフェンシートに直交するように印加される場合は、この状態は閉じ込めに必要なように漸近的に減少する。我々は電場がランダウギャップ内にエネルギーレベルを誘起することにより、ランダウレベルのスペクトルを変化させることを見出した。これらのエネルギーレベルに対応する状態は、外場に束縛されており、その外場で調節することが可能である。これらの状態数は電場の強度に比例する。状態密度の計算結果によれば、量子状態は低密度領域内に存在し、従って量子状態は電子輸送測定を利用して実験的に探査することが可能であろう。 更に我々は、スピンがブロックされたダブル量子ドットにおける電子輸送を研究した。スピン・軌道相互作用の強度を調節することにより、ダブルドットを通過する電流は、ゼロ磁場で落ち込む、あるいは2つの電子エネルギーが反交差するような磁場でピーク値になることを示した。この振舞いは、磁場およびスピン・軌道振幅による1重項と3重項との混合に依存するためである。我々は、電流の近似表現を、輸送サイクルに含まれる状態の振幅の関数として導出した。また、有限個数の核スピンを考慮した別のモデルを考え、電子と核スピンとの間にこのモデルの結果として生じる動力学を研究した。我々は、スピンアンサンブルが熱状態にあれば、一時的な電流の規則的な振動とそれに続いて、熱的ジェインズ・カミングスモデルで見られるものと類似する準カオスのリバイバルが存在することを示した。
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