研究課題/領域番号 |
10F00506
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
花岡 悟一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティ研究センター, セキュリティ基盤技術研究チーム長
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研究分担者 |
SCHULDT Jacob 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティ研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | 電子認証 / 電子署名 / 公開鍵暗号 / 証明可能安全性 |
研究概要 |
非常に多くの電子情報システムにおいて、データの保全性を保証するための極めて重要な要素技術として、すでに電子署名の活用が広くなされている。しかし、従来の電子署名の機能は必ずしも十分ではなく、情報システムの高度化に伴い、有用な付加機能や、それに付随したより高度な安全性がなおも求められている。本研究においては、そのような社会的要望に応えることを主たる目的としている。また、ここで得られた知見を活用し、それを電子署名以外の暗号技術(たとえば、(非)対話証明など)にも適用し、さまざまな実用的暗号技術の研究および開発を行っている。本年度においては、前年度の研究成果を受け、より原始的暗号技術に焦点を当てて研究開発を行った。特に、従来の電子署名がもつ基本的な機能について、それをより安全で効率的に実現するための新たな構成手法について研究を行っている。この研究においては、従来の電子署名の安全性や効率性を向上させることのみを目的とはせず、得られた知見を用いて、多種多様な付加機能つき電子署名についても一般的に安全性と効率性を向上可能となるよう念頭においたうえで研究を行った。具体的な成果として、高度なプライバシ保護機能をもつ認証技術であるnominative署名について方式の設計およびその安全性評価を行い、さらに、電子署名と公開鍵暗号の機能を同時に提供するsigncryptionについて一般的構成方法を示し、その構成法が従来よりも一層高度な安全性を持っていることを数学的に証明した。また、一対の秘密鍵-公開鍵ペアのみを電子署名と公開鍵暗号の両方の用途で用いる方式についても安全な構成方法について検討を行い、具体的実現手法と安全性評価を行った。これらの成果により、権威ある国際会議ASIACRYPT 2011,ACNS 2011(二件)の採録がなされ、さらに、Springer-Verlag社Lecture Notes in Computer Scienceシリーズより、合計三本の論文が出版されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画書に記載の内容について順調に研究が進行し、さらに得られた成果がいずれもASIACRYPT,ACNSなどの権威ある国際会議に採録がなされている。したがって、研究計画書の内容から逸脱することなく、しかも、非常に高度な質をもって遂行しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで当初の研究計画書のとおり、研究が進行していることから、今後もそれに従って研究を推進していく。とくに、次年度は本研究の最終年度であることから、これまでの成果を体系的にまとめ、電子認証における確固たる技術的枠組みの整備や、理論的な技術限界(電子署名・公開鍵暗号の効率限界など)の明示などを行い、国際会議での発表などを通じて、当該研究分野に貢献していくものとする。
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