研究概要 |
抗インフルエンザ薬リレンザは、タミフルと並んで臨床適用されている極めて高付加価値な医薬品であるが、複雑な構造かつ特異な官能基配列を有する為、簡便な化学合成法の開発は大きく遅れている。本研究計画では、我々の研究グループで開発した新規異種2核Nd/Na型不均一系ヘテロバイメタリック触媒を用いるanti選択的不斉ニトロアルドール反応を利用し、抗インフルエンザ薬リレンザの効率的触媒的不斉全合成ルート確立を目指す。本反応で得られるanti-1,2-ニトロアルカノールは容易にanti-1,2-アミノアルコールに変換可能で、リレンザの中核をなす骨格合成に威力を発揮する。本年度は、リレンザの合成ルート確立に適した、末端オレフィン部位を有するニトロアルカンを出発原料とし、本基質を用いたanti選択的不斉ニトロアルドール反応を最適化を行った。異種2核Nd/Na型不均一系ヘテロバイメタリック触媒の最適反応条件を基盤として、包括的な条件検討を実施したところ、syn/anti比~1/4、90%ee前後で官能基化ニトロアルドール生成物が得られる反応条件を突き止めた。得られたanti-1,2-ニトロアルカノールの官能基選択的還元によりanti-1,2-アミノアルコール体へと導き、現在ピラン環構築の為にさらなる変換を行っている。
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