研究概要 |
具体的内容 我々はバングラデシュ農村部で横断研究を行い、最終年度として、サンプルやアンケート調査票を解析し研究結果をまとめた。 意義 我々は,この3年間で、社会経済的、人口動態学的調査、医学的健診、医学的採血検査を実施。15歳以上で合計3900人に施行。このうち、閉経後女性は1382人である。 1)バングラデシュ国の閉経後女性における高血圧症の有病率1382名中、高血圧診断基準は49.2%が満たした。 2)高血圧症関連リスク因子 参加者の内、相当数は、メタボリック症候群(MS)、高BMI値、高血圧、高インシュリン血症、HDL低値を示した。特に、本研究の主な対象である閉経後女性においては、MSは高率であり、39.65%であった。高血圧女性は、非高血圧者に対して、比較的に高齢であった。閉経後女性における高血圧群は、LDLコレステロール、収縮期血圧,拡張期血圧,空腹時血糖値,および空腹時インシュリン値において、非高血圧群の女性よりも、統計学的有意差をもって高値を示した。HDLコレステロール低値を示した。中性脂肪と総コレステロールの何れも、高血圧群では非高血圧群よりも高い傾向が見られた。非HDLコレステロールは、統計学的有意差をもって、高血圧群にて高値であった。高い社会経済的状況と低い身体活動性は、統計学的有意差をもってMSと高血圧に正相関を示した。即ち、高い所有土地面積、高い住居面積、低い身体活動性は、MSと高血圧との相関を示した。高齢、高血圧や糖尿病の家族歴は、MSと高血圧のリスクであった。一方、高い教育歴は、健康への高い関心とリスクの軽減に相関が見られた。 重要性 バングラデシュ国においては、現状では健康政策的な方針に乏しく、今回の調査結果を具体的な提言につなげたい。バングラデシュ国をはじめとする東南アジア諸国においては、今後の経済的発展に伴う生活習慣病の爆発的増大が懸念されている。この度の研究から得られた所見は、社会経済的な側面における改善や、住民の行動変容や生活習慣の具体的改善の必要性を示唆すると考えられる。それらは、今後の遺伝子多型解析結果などを介して、我々日本人における同様な改善策の政策的立案にも活用できる可能性を有する。
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