研究課題/領域番号 |
10F00518
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
山中 宏二 独立行政法人理化学研究所, 運動ニューロン変性研究チーム, チームリーダー
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研究分担者 |
LASIENE JURATE 独立行政法人理化学研究所, 運動ニューロン変性研究チーム, 外国人特別研究員
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 運動ニューロン / SOD1 |
研究概要 |
本研究課題では、これまで末梢神経の髄鞘形成においてその関与が知られているニューレグリン1(NRG-1)について、神経変性疾患におけるその役割を解明することを目標とする。本年度は、以下の項目について検討を行った。 1.筋萎縮性側索硬化症モデルマウスとして知られる変異SOD1マウス、SOD1-G85RとSOD1-G93Aを用いて,脊髄におけるNRG-1mRNAの経時変化を4あるいは5つの異なるタイムポイントにおいて検討した。終末期および疾患進行期である4、5ヶ月齢のSOD1-G93A、10、12ヶ月齢のSOD1-G85Rの脊髄において、NRG-1 type-IおよびType-IIIのmRNAの発現が低下していることを明らかにした。 2.共焦点顕微鏡を用いて三次元的に画像を取得してNRG-1発現量の定量的解析を行うことにより、変異SOD1の疾患進行期において、シナプスの消失に先立ってNRG-1の発現低下を認めた。これらの知見は、NRG-1の神経変性病態への関与を示唆すると考えられる。 3.さらに、NRG-1 typeI、typeIIIの変異SOD1G93Aマウスの疾患進行への役割を検討するため、リコンビナントNRGたんぱく質を発症期の変異SOD1マウスの腹腔内に投与したが、生存期間に対する有意な影響はみられなかった。今後、アデノ随伴ウイルスを用いた発現系により、脊髄病巣への直接接種によりNRG-1を発現させてその病態への影響を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は研究分担者(特別研究員)の出産、育児のため4ヶ月間の研究中断があったため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究終了時期の延長が承認されたため、当該期間に研究が完了できるように努めるとともに、研究室所属の研究協力者の支援を得ることにより研究の適時的遂行を目指す。
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