研究課題
この年度の研究計画は予想以上に捗ることができた。特に、現在、ミニマルな知覚の実験スキーマとして脚光を浴びつつあるLenay教授(the University of Compiegne)との共同研究を設定することに成功し、Froese、池上との共同実験を開始できた。特にLenay教授の知覚交差実験のコンピュータモデルを作成することに成功し、この最初の論文がl Frontiers in Human Neuroscience.誌の社会的相互作用のダイナミクスの特集号に掲載されることが決定した。知覚交差の実験とは、ついたての反対側に座った被験者が、1次元のレール上に指をのせて滑らせる。相手の指に当たる位置と交差すると振動刺激がくるが、それ以外に固定した物体や、相手の指に付随して動く影の物体と交差しても刺激を受ける。このとき、どうやって相手を同定していくか、が課題となる。たとえば、ターンテークや、模倣的行為が自己組織的に出現することが報告されている。これは、人の相互作用がどのようなパターンをもっているか、それはどう発展するか、間主観性のダイナミクスを考える上で非常に示唆に富む実験である。この実験以外にも、自律的な運動生成が生命の起源で重要であるか、といった問題を簡単な反応拡散系のモデルシステムを用いて論じた。この実験はGray Scottモデルという典型的な化学反応系にパラサイト的な化学種を導入し、それがもともとの系で出現する自己複製子と合体することで運動性を獲得し、それが進化的に動けない複製子を淘汰することを示した。
1: 当初の計画以上に進展している
論文がスムーズに受理され、知覚交差の実験のアイディアもすすめることができたから。
知覚交差の実験を、振動刺激マウスなどを用いて行えるように改良し、より計測しやすい実験システムを開発する。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (9件)
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