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2011 年度 実績報告書

量子熱浴中の励起子 : 複雑な媒質中のエネルギー移動

研究課題

研究課題/領域番号 10F00743
研究機関京都大学

研究代表者

谷村 吉隆  京都大学, 理学研究科, 教授

研究分担者 DIJKSTRA ArendG.  京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
キーワード量子情報 / 非マルコフ性 / コンカレンス
研究概要

本年度は昨年度行った非マルコフ性について研究をさらに発展させ、系と熱浴が強く結合していることにより生じる平衡統計力学からのずれについて詳細に研究した。具体的には2スピン系に2つの熱浴をつけた研究を行った。この計算は2つの独立した階層を扱うことになり、計算コストは大変高いが並列化等の処理により初めて可能になった。系と熱浴との相関に関しても、非線形応答関数を計算する手法を応用することでより深く研究しBathentanglementという概念を導入して、その解析を行った。結合強度が強い領域で熱浴とのエンタングルメントにより、通常の熱力学と様相が大きくことなることをパンプ・プローブなどの非線形分光スペクトルと結びつけながら研究を行った。光合成FMO系についてこのような概念を導入することで、これまでの結果を変えるかについてもチェックを行った。これまではドルーデ型という構造をもたないスペクトル分布関数にを用いて主に研究をおこなったが、ブラウニアン型という、共鳴周波数をもつスペクトル分布関数に対する階層方程式をもちいることで、電子移動反応についての2次元分光についても研究を開始した。マーカスのインバーテッドパラボロと呼ばれる化学反応律の変化を、シーケンシャルからスーパーエクスチェンジと呼ばれる電子移動反応領域について、階層方程式を用いることで統一的に議論し、それがどのように多次元分光スペクトルに反映されるかについてのシミュレーションを開始している。結果はヨーロッパやシンガポール等の国際会議で発表し、投稿中を含む2本の論文として出版した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年、震災の影響等でダイクストラ氏はかなり重度のうつ病となり、母国オランドの病院に4か月入院したため、その期間研究が中断した。幸い治療が功を奏し、現在は完璧に復帰している。震災の影響による帰国のため、滞在期間の延長が認められ、その遅れは取り戻せる見込みである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Non-Markovianity : initial correlations and nonlinear optical measurements2012

    • 著者名/発表者名
      A.G.Dijkstra, Y.Tanimura
    • 雑誌名

      Phil.Trans.R.Soc.A

      巻: (掲載確定)

    • 査読あり
  • [学会発表] Non-Markovianity : Initial correlations ann nonlinear optical measurements2012

    • 著者名/発表者名
      Dijkstra, Arend G.
    • 学会等名
      日本物理学会第67回年次大会
    • 発表場所
      関西学院大学西宮上の原キャンパス
    • 年月日
      2012-03-24
  • [備考]

    • URL

      http://theochem.kuchem.kyoto-u.ac.jp/members/Dijkstraj.htm

URL: 

公開日: 2013-06-26   更新日: 2013-07-01  

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