研究課題/領域番号 |
10F00757
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
CARNINCI Piero 独立行政法人理化学研究所, ゲノム機能研究チーム, チームリーダー
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研究分担者 |
GHILOTTI Marco 独立行政法人理化学研究所, ゲノム機能研究チーム, 外国人特別研究員
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キーワード | ncRNAs / chromatin / Adaptor / genomic DNA / sequencing / mapping / ligation |
研究概要 |
この研究の目的は、ヒトゲノムにおいてノンコーディングRM(ncRNAs)が機能するメカニズムとその生理的役割を明らかにすることにある。タンパク質をコードする領域が、哺乳類ゲノムのわずか2%以下であるにも関わらず、ncRNAsはゲノムの主要な転写産物である。我々の関心は、これらのncRNAsがどのようにして核内因子と結びつくことができるのかといったメカニズムを解明し、ガンなどの疾病におけるncRNAの役割を理解することにある。 この主たる理由から、ゲノムDNA上に関連するncRNAをマップするため、クロマチンと結びついたncRNA分子をマップする新しい方法を開発することにした。このプロジェクトは基本的に次の2つの主要部分に分けられる。第1部では、実際のモデルである細胞クロマチンを可能な限り模倣できるよう、このプロトコルに含まれる酵素のすべてのコンディションをインビトロでテストした。第2部ではインビトロでデザインした最適なコンディションを細胞クロマチンに直接適用すべく、実試料に移行したいと考えている。1年目は真核細胞核内で近接していると考えられる分子を模したDNA合成分子およびRNA合成分子と2つの異なる反応でRNAとDNAの末端をそれぞれ得られる、アダプターと呼ばれる短い分子をライゲートするインビトロのコンディションを確定することにほとんどの時間を費やした。NEB酵素T4 RNA K227QリガーゼとT4 DNAリガーゼを使い、ライゲーションのコンディションに適したプロトコルを発見するため、数々の試行を重ねてきた。その後、この工程に続いて、まずcDNA分子内における最初のRNAの転換を引き起こし、その後、二本鎖DNA分子の生成を引き起こすための数々の工程を行った。この二本鎖DNA分子はまずクラスIII制限酵素(EcoP15I)によって分解され、その後、シーケンスに必要なリンカーによってライゲートされる。この第1部と並行して、核内で近接するDNAとncRNA領域のシーケンスという本来の目的のために必要なクロマチンサンプルの準備を進めてきた。また、このケースについて、ショ糖勾配遠心またはRNA-DNAチップ・プロトコルによる準備といった数々の試験を行い、さまざまなアプローチも試した。クロマチンサンプルでの技術開発はインビトロ・モデルほど速くはないものの、サンプルはほぼ準備ができている。Illumina HiSeq 2000シーケンサーによるシークエンス後には、アダプターによって得られたDNAとRNAの配列を特定し、アダプターの配列が左右非対称であることを利用して、DNAとRNAを区別するための新しいソフトウエアをデザインしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に我々のスケジュール通りに進んでいる
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今後の研究の推進方策 |
我々は、プロジェクトの開始時に決定した計画(試行とシーケンシング)どおりに進んでいる
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