この研究では日本語母語話者が第二言語として学習する英語の、ある音声対比を聞いた際に起きる脳内細胞活動について様々な比較を行い、調査します。特に今回の研究ではターゲットとする英語の音声対比、緊張母音/I/・弛緩母音/i/において、英語学習者のその音声対比のトレーニングをした前と後の脳内活動や英語母語話者がその音声対比を聞いた際の脳内活動などを比較し、どのような変化や違いがあるのかをfMRIを使用し計測を行います。このようにある音声対比を認識した際の脳内処理などを明らかにし、それらを生かすことで今後のより効率的な外国語教育、学習ソフト作成に役立てられると考えております。 大まかな研究計画としましては、英語母語話者による音声対比を含む語や文の発音の録音、それらを用いたリスニングトレーニングプログラムの作成、日本語母語話者のその対比における脳内の反応を、リスニングトレーニングを行った前と後で、計測を行います。英語学習者だけでなく英語母語話者もその音声対比を聞き認知した際の計測データと比較し、検証を行います。 2010年度は、主にリスニングトレーニングプログラム作成の土台となる作業を行いました。概要としましては、プログラムに使用する刺激リストの作成、マッギル大学と共同でカナダの英語母語話者にそのリストの単語や文章を発音してもらったものの録音、その録音データの音響分析、トレーニングプログラムやその前後に行うテストで使用する録音データの分割、それらトレーニングやテスト全体の構成準備等です。2011年度は今年度に準備したデータを用いトレーニングプログラムとその前後に行うテストの完成、カナダと日本においてfMRIを用い実際の脳内活動の計測と分析を行います。
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