研究概要 |
超広帯域無線通信技術(UWB)システムには,マルチバンド直交周波数分割多重(MB-OFDM)を用いるUWBと直接拡散(DS)を用いるUWBの2つの異なるシステムがある.これらUWBシステムは超広帯域であるがゆえに他の狭帯域システムと共存しなければならない.これまでUWBシステムと狭帯域システム間の干渉問題について数多くの研究がなされてきたが,異種UWB同士の干渉問題についてはほとんど検討がなされてこなかったのが実情である.そこで,本研究では,異種UWBシステムが共存する環境下における干渉問題についての理論検討とメディアアクセス制御(MAC)層における干渉低減技術についての検討を行った.以下のような研究成果が得られた. 1.仲上mフェージングチャネルにおける時間ホッピング(TH)-UWBと直接拡散(DS)-UWBシステムからの干渉を受けたマルチバンド(MB)-OFDMのビット誤り率(BER)を特性関数手法により理論的に導出し,数値計算によりBER特性を求め考察した.この結果,干渉波個数が少ないときにはTH-UWBとDS-UWBの影響には差がないこと,MB-OFDM,WLANとWiMAXの中でMB-OFDMが最も脆弱であり,WiMAXが干渉に最も強靭であることを明らかにした. 2.DS-UWBシステムを対象として,マルチユーザー干渉(MUI)とMB-OFDMシステム干渉の両方を同時抑圧するマルチアンテナ・シングルキャリア周波数領域等化(SC-FDE)技術を提案し,アンテナ本数,UWBユーザー数およびMB-OFDM干渉個数の影響について検討した.この結果,演算量を許容範囲内に抑えつつ相互干渉を効果的に抑圧できることを明らかにした.
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