Litchfield氏は、T2K実験の前置検出器の運転責任者としてJ-PARC(茨城県東海村)に常駐し、100%近い効率でのデータ収集を実現した。「全測定器の状態の把握」、「運転スケジュールの決定」、「運転時のあらゆる問題への対処」、「データ品質の確認」、「シフトマニュアルの整備」などを行い、T2K実験が安定かつ高い品質で物理データを収集できるように尽力した。Litchfield氏はまたデータ収集システムのエキスパートとして、データ収集システムのあらゆる問題に対して現地で対応を行った。 Litchfield氏は、前置検出器のデータ解析に必要なソフトウェアーの整備を中心となって行った。前置検出器は複数の検出器から構成されており、そのデータ解析に用いるソフトウェアーは非常に大規模なものである。 Litchfield氏は、このソフトウェアーの開発および管理の責任者としてグループをまとめ、前置検出器のデータ解析に大きく貢献した。この前置検出器の解析結果は、ニュートリノ振動解析の重要なインプットとなった。 Litchfield氏は、前置検出器の光検出器とその読み出しエレクトロニクスの較正を中心となって行い、前置検出器の測定に対する系統誤差を減らすことに成功した。この結果、ニュートリノ振動解析の系統誤差が低減され、測定感度が向上した。 Litchfiled氏は、2012年夏までのデータを使ったT2K実験電子ニュートリノ出現事象の探索において、前置検出器の測定と解析で大きく貢献し、3.2σの有意性で電子ニュートリノ出現事象の兆候を得た。そして国際会議Flavor Physics and CP Violation 2012(FPCP2012)で、その結果の発表を行った。
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