初年度は9月からの開始であったため、日本および諸外国において公表されている森林の現状やその持続可能な管理に関わる文献や資料に基づいてこれまでの主張や論議を整理し、それらの実情について分析を進めた。 他方、10月の生物多様性条約COP10および生物多様性国際自治体会議に参加し、都市の生物多様性に関する行動計画、また政策提言などの議題について検討するとともに、世界の各都市による活動事例や問題実態について意見および論議を交わした。その内容は12月に上智大学環境講演会で発表した。12月にはアジア各地の森林をめぐる伝統知と文化に関する国際会議、第三回『里山と多様性』に参加し、本研究に関する途中経過を発表するとともに、各分野の専門家と意見交換した。その参加体験は総合地球環境学研究のニュースレターにまとめた。 2011年1月には、中国において森林に関する伝統的知識の研究現状を把握するために、中央民族大学、雲南大学民族研究院、中国科学院昆明植物研究所などの研究機構を訪ねて、専門家と意見交換し、最新情報を確認した。また、雲南大学の協力を得て、昆明近郊にある村を訪ねて、地域の生態・文化・歴史について実地調査を行った。
|