研究課題/領域番号 |
10F00793
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
SIDONIA Fagarasan 独立行政法人理化学研究所, 粘膜免疫研究チーム, チームリーダー
|
研究分担者 |
SUTHERLAND DuncanBruce 独立行政法人理化学研究所, 粘膜免疫研究チーム, 外国人特別研究員
|
キーワード | パイエル板 / 濾法性ヘルパーT細胞 / Foxp3+制御性T細胞 |
研究概要 |
本研究の目的は、パイエル板におけるFoxp3+制御性T細胞由来の濾胞ヘルパーT細胞サブセットへの分化制御機構や濾胞ヘルパーT細胞サブセットの機能を明らかにすることである。この目的に即して、腸内細菌や腸内代謝産物を認識し、濾胞ヘルパーT細胞サブセットへの分化を制御する細胞群の同定を試みた。好酸球は小腸粘膜固有層に多数存在するが、その役割は未知の部分が多い細胞群である。好酸球は骨髄や脂肪組織において免疫細胞を制御していることから小腸においては濾胞ヘルパーT細胞サブセットの分化制御を担っているという仮設を立てて検証した。 我々は、好酸球欠損マウスを用いて濾胞ヘルパーT細胞、IgA産生における好酸球の役割を検討した。その結果、好酸球欠損マウスではパイエル板濾胞ヘルパーT細胞数の減少やIgA産生量の減弱が認められた。さらに、このマウスでは制御性T細胞数の増加やIL-17産生細胞数の減少が認められた。また、野生型マウスおよびビタミンA欠損マウスにおける末梢組織での好酸球の細胞数を比較検討した。その結果現在までに、ビタミンA欠損マウスでは小腸および脂肪組織において好酸球数が減少しているという結果が得られている。さらに好酸球生存における腸内細菌叢の役割を検討した。マウスに抗生物質を投与して好酸球数の変化を調べた結果、抗生物質投与群と非投与群とでは好酸球数に変化は見られなかった。次に、抗生物質投与が好酸球の代謝回転速度に影響を及ぼすかどうかを検討した。その結果、抗生物質非投与群と比較して抗生物質投与群では好酸球代謝回転速度の減少が観察された。これらの結果より、本研究は濾胞ヘルパーT細胞サブセットへの分化制御を担う新たな細胞群として好酸球を同定すると共に、好酸球生存における腸内細菌や腸内代謝産物の役割を示した。本研究結果は新規腸管免疫誘導機構を提示した点で意義深いものであると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
濾胞ヘルパーT細胞サブセットへの分化の制御機構の解明という「研究の目的」に対して、これまでに候補細胞群として好酸球を同定していることから概ね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進方針として、好酸球がどのように濾胞ヘルパーT細胞サブセットへの分化を制御しているかについてその制御機構を検討していくことを考えている。
|