研究課題/領域番号 |
10F00795
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
O.B. Wright 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授
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研究分担者 |
OTSUKA Paul 北海道大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | 表面プラズモンポラリトン / ポンプ・プローブ法 / プラズモニック結晶 / THz音響振動 / 音響光学変調 / 金属ナノ構造 |
研究概要 |
目的:提案した研究は表面プラズモンポラリトン(SPP)の伝播をナノスケールで1THzまでの周波数で音響的に変調し制御することを初めて実現するものである。本年度の目的は、金属ナノ空洞試料(プラズモニック結晶の試作モデル)におけるフォノニック・プラズモニック結合の超短時間領域のマッピング測定を行うものであった。 実験系の構成:ポンププローブ法を元にしたイメージングシステムを構築した。ポンプ光とプローブ光を重ねて直径1ミクロンのスポットに集光する空間フィルターを組み込んだ光学系を構築した。 試料作製:ガラス基板上に金で出来たナノ空洞試料を準備した。空洞の直径は1600nmであり、金の厚みは空間的に徐々に変化していくように構成されている。 測定:空洞の直径や高さを変えた試料の振動を、ポンプ光(波長820nm)とプローブ光(波長410nm)のスポットを重ねた状態で試料上を100ナノメートルの分解能での空間走査と、ピコ秒時間分解能での時間走査で測定した。測定結果に対称性を利用した平均操作やフーリエ変換などを行い振動スペクトルの空間イメージングを得た。励起された振動モードをα1~10GHzの領域で同定し、特に0.9GHzに空洞試料の強い共鳴振動を観測した。 シミュレーション:ナノ空洞試料内の電磁場と音響場の両方を市販の有限要素法ソフトウェア(Comsol Multi PhysicsとPZFlex)を用いて数値計算した。実験で得られた振動モードと比較し、シミュレーションにおいて実験で得られた主な特徴を再現出来ることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ空洞試料の実験については、70%程度の達成度である。実験結果はグラフ化しており、論文投稿の前に最終的なまとめをしている段階である。EOT試料については、50%程度の達成度である。実験は大体終わっており、共同研究者のシミュレーションを待っている段階である。ナノ導波路については、アムステルダムのFOT研究所からの試料を受け取っていないため、研究はほとんど達成されていない。彼らは現在、試料を製作するのに挑戦している状態である。
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今後の研究の推進方策 |
高周波数音響波とプラズモニクスを融合させる本研究分野、とりわけ特にナノ光学の音響振動変調の研究は、まだまだ萌芽的な段階であり、未解決の基礎的な問題がたくさんある。また我々は、この方法を利用した音響センサの応用研究も考慮している。本研究での現在の問題点を解決することは、そのセンサの開発にも役立つことであろう。我々はそのような意識をもち研究を進めている。
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