研究概要 |
(1)2次元層状化合物Sr2-xEuxCoO4の構造、磁気、輸送特性について調べた。空間群I4/mmmのK2NiF4タイプの結晶構造であった。Euの添加量を増やすとc軸の値が減少した。キュリー温度はSr1.25Eu0.75CoO4で150Kであった。導電率の温度特性から、輸送特性はVRHメカニズムで表された。いずれのEu添加量の場合も異常に大きなMR効果が観察され、これらの化合物はCMR材料として有望である。 (2)Nd添加2次元化合物Sr2CoO4の構造、輸送、磁気特性について調べた。組成は、Sr2-xNdxCoO4(x=0.5,0.75,1,1.25)である。Eu添加の場合と同様にK2NiF4タイプの構造を持ち、空間群はI4/mmmであった。Nd添加量の増加とともにc軸の値は減少した。常磁性・強磁性相転移が観察され、転移温」度はx=1と0.75の場合で150K、100Kであった。バンド構造計算から、これらの化合物はhigh spin状態を示すことが期待される。導電率の温度依存性から、輸送特性は2次元VHモデルで表された。 (3)2次元ペロブスカイトとして、層状マンガン化合物La0.5Sr1.5Mn1-xFexO4(x=0,0.2,0.4,0.6,0.8)に注目した。いずれのMn量で単相で、空間群I4/mmmの正方晶であった。XPSによるとFeの価数はx>0で3+が維持されるのに対し、Mnの価数は、x≦0.4の場合は4+と3+の混合状態となり、x=0.6-0.8では3+のみであった。X=0の場合には、Feの微量添加が電荷秩序と軌道秩序の変化を抑制した。全ての組成においてspin-glass状態が観察され、c軸方位における異方性は、Mn3+のeg電子の軌道特性変化を示唆している。
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