研究課題
動脈硬化などに代表される循環器疾患では、その発症メカニズムの解明と治療法の確立が大きな課題となっている。本研究では、循環器疾患の発症メカニズムを解明するための、複数オミックスデータ解析法を開発することを目的とする。平成24年度は、平成23年度までに設計したワークフローをマウスモデルに適用した結果を詳細に解析し、食事中のコレステロールと高コレステロール血症薬であるロスバスタチンなどの投与が肝臓に影響を与える際の主な代謝物としてジグリセリドを同定した。更に高コレステロール食を与えたマウスの解析からもジグリセリドがアテロームの発生に関連する代謝産物であることが明らかになり、肝臓の慢性炎症に関与していることが示唆された。特に、O2PLSに基づくSUS2プロット解析によってロバスタチンが高コレステロール食を与えたマウスのジグリセリドプロファイルをコントロールのマウスと同じプロファイルに戻すことが分かった。これらの結果をまとめた論文は、Analytical Chemistry誌に採録された。O2PLSを用いたワークフローの別の応用として、環境ホルモン(17βエストラジオール)を投与した魚(黒鯛)の血中メタボロームのプロファイル解析にも応用した。その際に、実験間の共通性と特性をより解釈しやすくするための拡張も試みた。その結果、トリメチルアミンオキサイド(TMAO)とコリンが環境ホルモンに影響を受けた魚のバイオマーカーとして有望であることが明らかになった。さらに、別の応用として、生分解性プラスチックの熱可塑性の最適化にも適用した。
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