本年度は研究初年度であり、しかも研究期間の開始が11月30日からだったので、研究代表者と研究分担者の共同作業を今後緊密かつ効果的に進めていくための準備作業に徹した。具体的には、次の2種類の作業を遂行した。 1.研究分担者が2011年11月27日にフランスのボルドー第3大学に提出し、博士号を取得した論文《Lacondition hermeneutique. Signification et manifestation dans la pensee de saint Augustin》を研究代表者が熟読し、研究分担者との間で数回にわたり質疑応答を行った。それによって、両者におけるアウグスティヌス理解の異同を確認すると共に、京都学派の哲学との接点を網羅的に探ることができた。 2.研究代表者の定期的なサポートの下で、研究分担者が西田幾多郎の『善の研究』を綿密に研究し、西田研究のための土台を形成した。研究分担者は基本的に英訳を用い、本研究の主題に深くかかわる場所については、研究代表者が原文から仏訳して分担者に読ませ、それを材料にして意見交換に努めた。
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