森林炭素循環において、土壌から放出される炭素は、その3分の2を占めるともいわれており、地下部の果たす役割は重要である。しかし、根系から土壌への炭素の流れはブラックボックスとして残されている。一次生産者である植物の根系から、菌根、菌糸を介して土壌へと炭素が流れていく部分にスポットをあてるのが本研究である。そのために、炭素安定同位体をトレーサーとして用いた実験を行う。その後、土壌中に細根、菌根、菌糸の各コンパートメントから放出される二酸化炭素を測定できるようなチャンバーを作成し、それぞれに分配された炭素安定同位体比を計測することにより、炭素分配を明らかにする。 初年度は、土壌中に存在する細根、菌根、菌糸の各コンパートメントごとに、呼吸によるフラックスとして発生する二酸化炭素濃度と炭素安定同位体比を測定するための根系観察測定用チャンバーを作成する。小型赤外線ガスアナライザー(二酸化炭素および水蒸気濃度測定用)と複数の小型プラスチック製気密容器、小型ポンプ、プラスチックチューブ等を用いて、微小な二酸化炭素フラックスを測定できるような計測システムを作成した。 また、菌糸・菌根をトラップするために2種類のメッシュサイズ(41μmおよび1μm)のバッグを作成し、試験地に設置した。
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