研究課題
本年度は、衛星GRACEや衛星レーザー測距SLRが取得する重力時間変動データを用いた地球雪氷圏の質量変動に関する研究に取り組んだ。まずは昨年度より進めていた、北極振動の降水/降雪量異常によって生じる北半球の重力異常に関する研究である。本成果は、査読付き国際誌Geophysical Journal Internationalにて印刷されるに至った。続いて、北極海周辺に位置する小氷河群の質量変動に関する研究を行った。新しいGRACEデータと最新の逆解析手法を用いることで、これまで困難とされた北極圏小氷河群の質量変動量の見積もりに成功した。本成果は、査読付き国際誌Terrestrial, Atmospheric and Oceanic Sciencesに投稿され受理された。最後に、Satellite Laser Ranging(SLR)観測による地球の低次重力場変動の導出と極域氷床観測への適用に関する研究に取り組んだ。研究遂行者は、2012年2月から9月までの期間、元NASAの宇宙測地局局長で現台湾中央研究院の地球科学研究所所長であるBenjamin Fong Chao教授のもとで指導を受ける機会を得た。さらに、日本におけるSLR研究の第一人者である一橋大学の大坪俊通教授と共同研究を行う機会にも恵まれた。このような多大な協力を得ることで、従来よりも高精度なSLR低次重力場解を導くことに成功した。このSLR低次重力解を用いて、1990年代から現在に至る極域氷床とりわけグリーンランド氷床の質量変動を解析した。その成果は、国内外の学会で発表され、2012年9月に行われた日本雪氷学会・雪氷研究大会にてVery Impressive Presentation賞に選出された。本成果は現在、査読付き国際誌に投稿準備中である。
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Teresstrial, Atmospheric, and Ocenanic Sciences
巻: (印刷中)
doi:10.3319/TAO.2013.02.22.01(TibXS)
Geophysical Journal International
巻: 130 ページ: 1495-1506
doi:10.1111/j.1365-246X.2012.05588.x
http://www.sci.hokudai.ac.jp/~kouji-matsuo/index_J.html