1995年に太陽以外の恒星を周回する惑星(系外惑星)が発見されて以来、現在までに500以上の系外惑星が発見されている。またNASAのケプラー衛星のトランジット法によりハビタブルゾーンにある地球型惑星候補が次々と発見された。ハビタブルな「1」地球質量の惑星の発見は時間の問題であろう。従って、系外惑星研究における次の最大のマイルストーンは、ハビタブルな地球型惑星の直接撮像及びその惑星上の大気分光を通した生命兆候の発見である。 このような背景において、私は次の2つの研究を2010年度実施した。ひとつは世界初の地球型惑星の直接撮像の提案である。2018年以降に次世代の超巨大望遠鏡がファーストライトを迎える予定である。その望遠鏡に私たちが創案した新しい観測手法を組み合わせることによって地球型惑星が検出できることが分かった(掲載論文3を参照)。 それとは別に、私はNASAとESAが計画する赤外線宇宙干渉計による地球型惑星の直接検出及び惑星大気分光のための新しい手法を考案した。本手法は従来の手法に比べて、より惑星を直接検出し易く、さらに高い波長比分解能で分光観測を可能にする。その結果、従来の手法では波長比分解能の制限により検出できなかった、生命活動の兆候であるアンモニア、メタンなどの吸収線までも検出することが可能になった(掲載論文1を参照)。私たちは数値シミュレーションを行い、その結果10pcにある「1」地球質量の疑似地球をたった半日で検出し、さらにその大気を波長比分解能100で40日間の積分時間により検出できることを示した。本研究の与えるインパクトは、赤外線宇宙干渉計の能力を飛躍させたこと及び、日本が技術的に本計画に参加できることを示したことである。
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