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2010 年度 実績報告書

高周期14族元素-炭素ハイブリッド型π電子系化学種の創成及び特性解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J00042
研究機関筑波大学

研究代表者

田中 裕明  筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード有機化学 / ケイ素 / 多重結合化合物 / ジリチナシラン / シリレン / トリシラアレン
研究概要

これまでに様々な高周期14族元素二重結合化学種の合成が達成されているが、高周期元素を含む二重結合を集積化したメタラアレンの合成例は少なく、理論計算の結果から置換基効果によってその構造が変化しやすいことが知られている。しかしながら最も基本的な三つのケイ素からなるトリシラアレンでさえ、これまでに一例しか合成例がなく、これまでに得られている知見だけではメタラアレンの性質を理解するには不十分であり、新たな置換基や骨格元素の組み合わせを有するメタラアレンの合成は興味深い。そこで本年度は電気陽性なシリル基を四つ有するトリシラアレンの合成を行った。
当研究室で開発したジリチオンラン[(^tBu_2MeSi)_2SiLi_2]と、近年Roeskyらが合成に成功したジクロロシリレン-NHC錯体の反応から、トリシラアレン[(^tBu_2MeSi)_2Si=Si=Si(SiMe^tBu_2)_2]を合成することに成功した。その構造は、各種分光学的データ及びメタノールによる捕捉反応における生成物解析の結果から決定した。さらに、理論計算を行ったところ、最適化構造は完全な直線構造ではなく、Si=Si=Si折れ曲がり角度が164度で、わずかに折れ曲がった構造であると推定した。さらに骨格の電荷分布を見積もったところ、興味深いことに今回合成したテトラシリルトリシラアレンの分極[(^tBu_2MeSi)_2Si^<δ->=Si^<δ+>=Si^<δ->(SiMe^tBu_2)_2]は、先に報告されたテトラアルキルトリシラアレンの分極R_2Si^<δ+>=Si^<δ->=Si^<δ+>R2:R2=1,1,3,3-テトラキス(トリメチルシリル)シクロブタンジイイル]とは大きく異なっていた。これらの実験結果は、はじめて電子供与性の置換基を有するトリシラアレンを合成し、その性質を実験・理論の両面から明らかにした、という点で高周期14族元素多重結合の化学に新たな知見を与えた

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] ジリチオシランとジクロロメタリレン-NHC錯体の反応:ペルシリル置換トリシラアレン及びシリレン-NHC錯体の生成2010

    • 著者名/発表者名
      田中裕明
    • 学会等名
      第14回ケイ素化学協会シンポジウム
    • 発表場所
      ニューウェルシティ湯河原
    • 年月日
      2010-11-19
  • [学会発表] テトラシリルトリシラアレンと関連化合物:合成、構造及び反応性2010

    • 著者名/発表者名
      田中裕明
    • 学会等名
      第21回基礎有機化学討論会
    • 発表場所
      名古屋大学東山キャンパス
    • 年月日
      2010-09-11
  • [学会発表] テトラシリルトリシラアレンと関連化合物の合成と性質2010

    • 著者名/発表者名
      田中裕明
    • 学会等名
      第4回日本化学会関東支部大会
    • 発表場所
      筑波大学 筑波キャンパス
    • 年月日
      2010-08-31

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公開日: 2012-07-19  

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