研究概要 |
1,パルスマグネットを用いたTbCoGa_5の高磁場磁化曲線測定に成功 TbCoGa_5の高磁場磁化過程を観察し、結果を解析することで、磁性イオン間に働く交換相互作用の大きさについて情報を得た。また、横浜国立大学に新設されたパルスマグネットを用いた磁化測定システムが高精度な磁化測定が可能なものであることを示した。 2,TbRhIn_5、DyRhIn_5の極低温比熱・磁化測定 昨年度に引き続き、東京大学物性研究所と共同でTbRhIn_5およびDyRhIn_5の極低温磁化測定を行った。今年度はさらに、京都大学金相研の協力により極低温比熱測定を行うことができた。これらにより、両物質のTbCoGa_5との違いを明確にし、さらにDyRhIn_5においてはこれまでに発見されていない奇妙な磁性を示すことが明らかになった。 3,平均場計算による部分成分磁気秩序の再現 磁性体の磁気秩序状態を記述する最も単純な理論のひとつである平均場理論に基づいた帯磁率計算を行った結果、部分成分磁気秩序は結晶場を考慮することで再現できることがわかった。またこれは結晶場基底状態に擬縮退を持つ場合に限られることも明らかにした。したがって、多極子自由度が強く影響するとも考えられ、結晶場に加えて多極子自由度も考慮した計算も行った。TbCoGa_5を初めとするいくつかの部分成分磁気秩序物質の帯磁率は、多極子自由度を考慮することで物質ごとの様々なパターンをすべて再現できる可能性があることを明らかにした。
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