マウス行動課題の構築では、頭部固定下でのマウスの行動課題の開発と自動化を行った。頭部固定マウスはそれ自体が新しい試みであるので、顕微鏡下における振動をできるだけ軽減する必要があり、ステンレス製のヘッドステージをマウス頭部にフィットするよう設計することにより、運動課題中のイメージングにゆれを最小限に抑えられることが確認できた。また、上記のヘッドステージを介して固定したマウスに対してトレーニングを行い、また、LabVIEWを用いてこの課題を自動的に学習させることのできるソフトを開発し、同時に多数のマウスに学習のトレーニングを行わせることが可能になったとともに、他の相同な系についてもこの方法が可能であることを示すことができた。さらに、マウス行動課題中の2光子カルシウムイメージングでは、行動課題遂行中のマウスに対し、細胞活動を同時に多数イメージングすることを可能にした。細胞活動はカルシウム蛍光指示薬Oregon Green BAPTA-1 AMを用い、運動課題中の動物において細胞活動の時系列的変化観察を実現した。イメージングデータの画像解析では、物理的な振動の影響を最小限にする方法の開発とともに、振動を含む画像からその影響を除く画像解析方法が必要であると予想されていた。そこで、従来の手法を組み合わせた画像補正のアルゴリズムを作成し、実際に課題中のデータに適用することで、課題関連細胞の識別がカルシウムイメージングによっても可能であることを示すことができた。
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