研究概要 |
昨年はアポロリターンサンプルの粒子形状を整理し,粒子分類を行った.また,粒子形状を詳細に評価し,カタログ化している.更にそれら粒子のイメージベースモデリングを行い,DEMにより単純せん断をシミュレートした.その際,粒子分類結果を参考にし,アグルーチネイトの含有率を任意に変更させている.その結果,アグルーチネイト含有率を増加させた場合には,せん断強度は変わらないものの,間隙比に影響し,ゆるく堆積する傾向となることが確認できている. また,昨年はイメージベースDEMの高度化を目的として,日本の地盤工学会で標準とされている豊浦砂,鉄道のバラスト軌道に用いられる砕石それぞれの粒子形状モデリングを行い,豊浦砂モデルでは単純せん断を,砕石モデルでは一面せん断をシミュレートし,実験結果との定量的な比較を行った.豊浦砂モデルでは,排水,非排水それぞれの条件での挙動をシミュレートしたところ,特に密詰め試験体では既往の試験結果との良好な一致が確認できた.砕石モデルでも,シミュレーションと合わせて一面せん断試験を実施し定量的に比較したところ一定の間隙比の範囲において良く一致することがわかっている. 今年度は限定された粒径範囲内のリターンサンプルについて粒子形状評価を行っている.次年度は既にCT試験済みのその他の粒径範囲のCTデータ解析を行い,統計評価を行うとともに粒子カタログを充実させる予定である.また,これまでイメージベースDEMでは粒子間摩擦を下げて圧密し,密詰め試験体を作製してきた.これまでに実施したDEMと実験との比較では,DEMの方が実験よりも密に詰まる傾向であったが,これは密詰め試験体の作り方が原因と考えられる.より現実的な詰め方を表現するために,繰返しせん断により圧密し,実験との比較を行う予定である.
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