研究概要 |
本研究は、"複数の刺激応答性高分子によるナノ集合体の創製とスマートバイオマテリアルへの展開"の研究課題の下、混合法による複雑な機能性を有する集合体の簡便な調製および混合比の最適化について検討した。 ・粒径や薬物の内包能など、2段階の温度応答性ブロック共重合体から形成される集合体の性質を検討した。集合体の粒径や、集合を起こす温度は、組成により制御可能であり、80nm~100nmと薬物キャリアとして応用が可能な粒径であった。共重合するモノマーの性質および組成により、集合を発揮する温度を自由に設計でき、室温にて安定なナノ集合体を形成する事に成功した。蛍光物質であるピレンを用いた集合化挙動においては、約10mg/Lのcmcを有する事が明らかになった。またコア部にステロイド剤を内包する事が可能であることを明らかにした。これらの結果は、Journal of Polvmer Science, Part A : Polymer Chemistry 2010, 48, 4393-4399にて報告している。 ・シェル部に温度応答性および負電荷を有する混合集合体を調製し、混合集合体の組成による温度応答挙動の変化を明らかにした。用いた2種類のブロック共重合体は、共通の温度応答性ブロックを有し、昇温により集合体を形成する。シェル部に温度応答性ブロックのみが存在すると、昇温により集合体同士の凝集が起こり、それに伴う沈殿が観測されたが、負電荷ブロックが加わることで静電反発により凝集を塵的に抑制することに成功した。混合比による導入量の詳細な調節および温度変化による可逆的な集合体形成を実行できる本システムは、シェル部の機能性発揮の最適化を検討する上でも非常に有用である。これらの結果は、Polymer Chemistry in pressにて報告している。
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