• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

VERAを用いた銀河系棒状構造の力学的検証

研究課題

研究課題/領域番号 10J00171
研究機関総合研究大学院大学

研究代表者

松本 尚子  総合研究大学院大学, 物理科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード電波天文学 / 位置天文学 / 星間分子 / メタノール / メーザー現象 / VLBI
研究概要

本研究の目的はメーザー源の絶対3次元運動を高精度で測定し非円運動成分を捉えることで、銀河系棒状構造の存在を力学的に示すことである。この目的のために、まずは最も明るく観測しやすい6.7GHzメタノールメーザー源の一つである大質量星形成領域W3(OH)を対象に試験観測し、年周視差及び絶対固有運動を求めた。得られた年周視差はπ=0.598±0.067秒角(誤差11%)であり、距離に換算すると1.67(+0.21/-0.17)kpcとなった。これは現状のVERAで太陽系から数kpcの範囲内の天体について6.7GHzメタノールメーザー源を用いた距離測定が可能であることを示している。この成果は、6.7GHzメタノールメーザー源の年周視差及び絶対固有運動計測結果としては、国内初であり、世界でも2番目の事例である。VERAで6.7GHzメタノールメーザー源の絶対位置計測が可能であることが証明されたところで、次の段階として、銀河系分子リング領域に存在すると考えられる6.7GHzメタノールメーザー源の内、どれがVERAで検出可能なメーザー源かを調べる観測を行った。その結果、Pestalozzi et al. (2005)の値で15Jy以上のフラックスを持つ75天体のうち35%にあたる26天体をVERAの最短基線に相当する1,000kmよりも長い基線で検出することができた。この検出率は今後VERAで対象天体を増やす際の目安となる。この観測で検出された天体の内、VERAで検出可能な絶対位置基準の連続波源も4°離隔以内に存在する絶対位置計測可能なメタノールメーザー源を10天体選出した。そして、複数天体の絶対固有運動計測に成功し、その結果に過去の観測結果も加え、銀河系棒状構造の入ったモデル(Sakamoto et al. 1999 ; Wada 1994)と比較し、観測結果をよく再現できることが示唆された。これは複数天体のメーザー源を利用して得られた銀河系ガスの3次元運動から銀河系棒状構造の存在を示唆した初めての例である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] VERAによる6.7GHzメタノールメーザー源の絶対固有運動計測2011

    • 著者名/発表者名
      松本尚子
    • 学会等名
      2011年日本天文学会春季年会予稿集
    • 発表場所
      春季年会予稿集
    • 年月日
      2011-02-20
  • [学会発表] 大学連携VLBI/VERAによる大質量星形成領域W3(OH)に付随する6.7GHzメタノールメーザー源の年周視差計測2010

    • 著者名/発表者名
      松本尚子
    • 学会等名
      2010年秋季年会(日本天文学会)
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2010-09-23
  • [備考]

    • URL

      http://researchmap.jp/nmatsumoto/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi