2012年度は本研究計画の最終年度であり、研究計画で位置づけられるところの「事例研究」の取りまとめが行われた。これは、2011年度より行われていた、京都市などにおける再生可能エネルギー普及のための市民団体の役割分析、および埼玉県小川町における有機農業を中心とした民間主導のまちづくりの取り組みの分析を中心に行われたものである。また、掲載されるのは2013年度となってしまうが、研究計画1年目より推進してきた、愛知県日進市における調査結果を元に、環境基本計画の推進における市民ネットワークの機能分析についても取りまとめられた。 京都市および神奈川県における研究では、再生可能エネルギーの普及促進に取り組む市民団体は、行政の掲げる政策方針に応じて活動内容や資源調達の方法を変化させていたが、その方法として共通しているのが政策提案のネットワークを自ら形成しているということであった。また、小川町における研究では、創成期に活動した1人の農家を中心として有機農業を支援するコミュニティの輪が広がっていったが、そこには有機農業支援の担い手教育のシステムが組み込まれていたことが確認された。そして、日進市における研究では、設立当初はごみ問題、流水域の緑地保全、農業問題などといった分野横断的に計画を総合的に推進してゆくことを目的としたNPO団体であったが、徐々に各分野内での事業連携を行う上での拠点へと機能が変容していったことが明らかになった。
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